コラム

日本は韓国のコロナ対策をまねるべきなのか?

2020年04月24日(金)17時40分
李 娜兀(リ・ナオル)

一方、安倍首相が発表した布マスクの配布方法は「日本らしくて面白いな」と思った。4月3日の毎日新聞によると、布マスクの配達は日本郵便が把握している独自の「住所録」に載る全ての住所に配達する「タウンプラス」という仕組みに基づいて行われるそうだ。この「住所録」は、郵便局の担当者が日々の配達業務の中で、空き家や長期不在の家を把握することで、常にアップデートされているのだという。

配達担当者の細やかな観察と記録によって成り立つサービスを利用して公平にマスクを配布するというのも、悪くはない「日本方式」の解決策だ。米疾病対策センター(CDC)も、布マスクの着用を推奨しているようだし、わが家でも送られてきたら利用しようと考えている。

マスクだけでなく、大量検査や携帯電話のデータなどを利用した感染経路の追跡について、日本でも韓国の手法を評価する報道が増えた。韓国人としてうれしく思わないわけではないが、日韓のやり方にはそれぞれの歴史的経緯や社会的背景がある。

そもそも、新型コロナウイルスと人類の戦いはそう簡単には終わらないそうだ。どちらが良いとか悪いとか即断せず、事態の推移を見極め、受け入れられそうな手法があれば互いに参考にすればいいと思う。

magTokyoEye_Lee.jpg李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。

<本誌2020年4月21日号掲載>

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2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

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