フランスから見ると驚愕の域、日本の鉄道のあり得ない素晴らしさ
こうした例はたくさんある。しかも日本の素晴らしい鉄道関連技術、ダイヤの仕組みや他のノウハウができたのは最近のことではなく、40年以上前だ。
けれど、なぜこんなに素晴らしい技術とサービスが世界で広まっていないのか。他国の鉄道会社の経営者にとって、東京の電車の世界は次元が違うだろう。なぜ日本の鉄道会社はもっと積極的に海外の企業と提携し、自社の技術を売り込まないのか不思議だ。
もちろん、単純に全てを輸出するのは不可能だが、自社の経験に基づいて相手方の欠点を大幅に改善できると思う。これからも鉄道は世界中で重要な役割を果たす。比較的、地球に優しい乗り物だからこそ大都市では欠かせない交通機関だ。
そして、日本や日本企業にとってはチャンスになる。パリ首都圏の交通網を充実させるための「グラン・パリ・エクスプレス」計画に、日本の鉄道会社や車両メーカーはぜひ参加してほしい。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。1999年からフリージャーナリスト、2004年からAFP通信東京特派員を経て、2020年に独立。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
<本誌2020年3月10日号掲載>
2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。