韓国への同情と嫌悪、中国出身の私が新大久保で見つけた「日本人らしさ」
先日、私が運営するネット番組が新大久保で取材をした。話をしてくれた日本人はみんな冷静で、政治と文化は分けて考えていた。もちろん、新大久保に来る彼らの意見が日本人を代表しているなどと言うつもりは毛頭ない。しかし、こうした意見を持つ日本人こそが私の知る日本人だ。
インタビューに答えてくれた在日韓国人の飲食店主も言っていたが、韓国人はどちらかというと感情的でそれを素直に表現する。だからデモも多い。逆に日本人は冷静で、感情を表に出さない傾向が強い。我慢して我慢して、我慢し切れなくなったところで爆発するのが日本だ。今はその爆発直前の状態にあるような気がしてならない。
だからこそ、日本のメディアにはもう少し冷静さを取り戻してほしい。どちらが悪いなどと、ひとことで片付く問題ではない。このまま客観性を欠いた韓国たたきを続ければ、「弱い者」をいじめる国として世界の対日観が変わってしまうかもしれない。
せめて政治と文化は分けませんか。長年日本にお世話になっている外国人としても、日本が今までどおり大人の対応で海外から評価され続けることを切に願っている。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「ゆあチャンネル」)としても活動。
<本誌2019年11月19日号掲載>
11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。