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ドイツでもっとも後進的だった電力業界に起きた破壊的イノベーション
InfraLab Berlinは、ベルリン/シェーネベルクのハイテクパーク内に、水道、ゴミ、電気、ガス、公共交通などの大手インフラ企業が、革新的なスタートアップとの協業を促進するために設立された。
<ドイツを中心とした欧州のエネルギー業界は今、新しいテクノロジーと破壊的なイノベーションにより、急速な変革を迎えている...... >
グリーン革命は電気から
電気、ガス、水、ゴミ処理、公共交通などの公益事業は、当然ながら市民生活と深い関わりをもっている。しかし、これらのインフラ企業は、レガシー・システムとして君臨し、長きにわたる安定した市場支配力を持ったがゆえに、イノベーションから最も遠い企業とされてきた。
電気は、現代人に不可欠なインフラでありながら、コスト負担は増大し続けている。ドイツを中心とした欧州のエネルギー業界は今、新しいテクノロジーと破壊的なイノベーションにより、急速な変革を迎えている。
家庭での電力消費は、部屋の照明、調理、暖房はもとより、スマホの充電にいたるまで、電気はますます生活に不可欠なライフラインである。ドイツの電力市場は、20年前に自由化されて以来、大きく変化してきた。これまでドイツでは、RWE、Eon、Vattenfall、EnBWの4大エネルギー供給業者が存在し、電力の販売から取引、電力を供給する送電網であるグリッドまで、すべてがビッグ4の手に委ねられていた。
ドイツでアパートを借りる際、顧客は自分の地域の責任あるサプライヤーと契約を結ぶ必要がある。ベルリンの賃貸アパートでも、電気は顧客の選択で供給会社を選ぶ必要があり、これまでは大手電力会社の「信頼性」だけが頼りだった。しかし今、安泰とした電力市場にデジタル革命が進行している。
新たな電力供給プラットフォーム
2016年以来、ヨーロッパのトップ起業家の才能を評価するDigital Top 50 Awardsは、ヨーロッパで最も重要なテック系スタートアップを表彰するイベントである。この賞は、ビジネスとテクノロジーの全範囲をカバーしており、今年、最高賞を授与されたスタートアップに世界の注目が集まった。
「最高の消費者ビジネスモデル・イノベーション」を受賞したLition(リチオン)は、ベルリンを拠点とする認可エネルギー・プロバイダーであり、電力の流れを供給・需要の両側から最適化できるスマートグリッドを通じて、ドイツ初のグリーン・エネルギーのデジタル市場を確立したスタートアップである。
リチオンは、グリーンエネルギーの生産者とスマート消費者を直接リンクすることで、消費者が大手電力会社を介さずに、選択したエネルギー生産者に直接電気代の支払いを可能にした。これにより、従来の閉鎖的な電力供給システムに、透明性、経済的魅力、持続可能性を突きつけている。リチオンのプラットフォームは、消費者が隣人の屋根にある太陽光発電設備からエネルギーを受け取るか、再生可能エネルギー会社のソーラーパークからエネルギーを受け取るかを決定できるようにした。
これまでのところ、電力は取引所を介して、または生産者と大量消費者の間で取引されるのが通例だった。一方、リチオンを使用すると、中規模のソーラーシステムを使用するすべての消費者が生産者になり、他の消費者に電力を販売することができる。リチオンのアプローチは、グリーンエネルギー部門の競争力を高めるのにも役立っている。
風力や太陽光などのグリーンエネルギー源との直接取引は、一般の人々も望んでいるが、リチオンはこれを実現し、プラットフォームの利用手数料で企業を運営している。現在、20人のチームを雇用しており、現在の年間売上高は300万ドルで、来年は700万ドルに達すると予測されている。これまでに約500万ドルの外部投資が集められ、同社は現在、160以上の都市に顧客を持ち、2022年末までに23万5千人の顧客獲得を成長目標に掲げている。
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