トランプも恐れる「厄介な事態」に?...イスラエル・トルコが虎視眈々と狙う「新生シリア」で何が起きるのか

ALLIES COLLIDE: WHAT NEXT?

2025年4月23日(水)14時32分
トム・オコナー(外交担当副編集長)

「トルコは過去14年間、シリア国民の闘いに寄り添ってきた。今後も、シリアの人々が平和と繁栄を実現するために支援は惜しまない」

一方、新たな紛争の脅威が迫るシリアでは、再び悲観論が広がっている。シリアの元外交官バッサーム・バラバンディは、「トルコはイスラエルの行動からシリアを保護する意思も能力もない。イスラエルは紛争のさらなる長期化ではなく、真剣に平和を目指す意思を示すべきだ」と語る。

トランプは、暫定政権を率いるアッシャラアに関与する姿勢を示していない。昨年12月にアサド政権が崩壊した際は、アメリカはシリア情勢に「一切、関与するべきではない」と述べた。

この時期にトランプは、エルドアンがシリアの将来の「鍵を握るだろう」とも語り、「とても賢明な」人物だと称賛した。

しかし、米政権の中東政策の焦点はガザ問題に大きく傾き、トランプとネタニヤフが緊密に協議を重ねている。また、イエメンの反政府武装勢力のフーシ派および彼らを支援するイランとの緊張が高まっていることも、アメリカは注視している。

シリアがまたしても、他国の対立に翻弄されて標的になることをバラバンディは嘆く。「シリアは自分たちの国が、地域大国の勢力争いの戦場になるところを見たくはない」

(編集部注:イスラエルとトルコはシリアでの偶発的衝突を避ける枠組みの構築に向けて、4月9日に高官協議を始めたと報じられた)

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、金上昇で第1四半期は黒字 株安やフラン

ビジネス

ニデック、26年3月期は8.2%の営業増益見込む 

ビジネス

カプコンの25年3月期、営業益17億円上振れ 市場

ワールド

トランプ氏、大学に一段の圧力 奨学金巡る認定厳格化
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「iPhone利用者」の割合が高い国…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中