ロサンゼルス山火事の原因は「気候変動」にあった?...予防対策に期待の「火災気候指数(FWI)」とは?

HIGH WIRE ACT

2025年4月16日(水)14時01分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

パリセーズ火災で焼けた海辺の住宅地

パリセーズ火災で焼けた海辺の住宅地(1月27日) MARIO TAMA/GETTY IMAGES

いま最大の課題は、それらの対策を何千キロにも及ぶ送電線に行き渡らせるコストと時間だ。

昨年7月、カリフォルニア州公益事業委員会が州議会に提出した報告書によれば、19~23年に電力各社は山火事低減の取り組みに総額164億ドルを費やし、森林火災保険や大規模災害の補償コストは100億ドルに上ったという。


「21年以降、山火事のリスク軽減コストは上昇し、今後も上昇傾向が続くと予想される」と報告書は警告し、コスト上昇の主な要因として気候変動の深刻化を挙げている。

「気候変動がエスカレートし、嵐の激化、気温の上昇など、壊滅的な山火事のリスクを増大させる状況になっている」と、報告書は指摘する。

洪水、熱波、山火事など異常気象に関連した災害が起きたときに、気候変動がどの程度関与しているかを評価するため、14年に気候科学者の国際的ネットワーク「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」が創設された。

ロサンゼルスで発生した山火事で、WWAに参加しているアメリカなど7カ国の気候科学者が気候変動の影響評価に乗り出した。

評価チームは「主として化石燃料を燃やすことによる人為的な気候変動が壊滅的なロサンゼルスの山火事の発生確率を高めた」ことを「高い信頼度」で確認できたと発表した。

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