ロサンゼルス山火事の原因は「気候変動」にあった?...予防対策に期待の「火災気候指数(FWI)」とは?
HIGH WIRE ACT
18年にカリフォルニア州北部で発生したキャンプ・ファイア火災はパラダイスの町を破壊し、死者85人を出した。パシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)の送電線の老朽化や整備不良が原因で、同社は巨額の賠償請求で経営破綻に追い込まれた。
23年のハワイのラハイナ火災では町の大半が破壊され102人が死亡。調査の結果、強風で倒れた送電線が草などに接触したのが原因と分かった。テキサス州史上最悪の火災となった昨年のスモークハウス・クリーク火災は、エクセル・エナジーの電気設備が原因だった。
これらの山火事は複数の要因が重なって起きた。開発によって、木や草が密集する燃えやすい地域に住宅が増加。電力需要が急増する一方、インフラは老朽化している。温暖化によって火災が起きやすくなっていることも背景にあると、専門家は指摘する。
電気絡みの出火リスクを減らすため、これまでカリフォルニア州だけで数百億ドルが投じられた。だが1月の猛火は、送電網絡みの悲劇の再発防止にははるかに多くの予防措置が必要だということを示している。
山火事のせいで「夜も眠れない」と語るのはダグ・ドール。カリフォルニア州を拠点とする米国電力研究所(EPRI)の技術担当重役で、電気設備火災の悪夢のシナリオとその予防策について考えるのが仕事だ。