関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米保守系TV局の「手のひら返し」とは?
WHY THE SUDDEN REVERSAL?
FOXはこの日、右派の視聴者が好みそうな他の話題にもたっぷり時間を割いた。朝の番組『FOX&フレンズ』では、「殺人犯の不法移民」を保護するいわゆる「聖域都市」や、トランスジェンダーの学生アスリートについての特集が放送された。
関税の話題になると、トランプ政権にあからさまに肩入れする姿勢が見られた。キャスターのエインズリー・エアハートは「トランプ政権が政権発足初期にこうした政策を実行しているのは、中間選挙までの数カ月間に国民がその恩恵を実感できるようにするためです」と、断言した。
スタジオの空気が15分で一変
そのFOXニュースでさえ、株式市場が下落を続ける状況を取り繕うのには苦労していた。9日朝にFOXビジネスに出演したJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOはキャスターのマリア・バーティロモに、アメリカが景気後退に陥る「可能性は高い」と、語った。この発言部分の映像は、この日繰り返し放送された。
それでもキャスターたちは、沈みゆくタイタニック号の船内で弦楽四重奏を演奏し続けようとするかのように力を尽くした。
「最悪のシナリオはまだ始まっていません」。FOXビジネスのチャールズ・ペイン記者は、トランプが関税停止を発表する直前にこう言った。ペインはこの日発表されたデルタ航空の良好な決算や住宅ローン需要の急増は、他のメディアが報じているほど経済状況が悪くないことを示していると熱く語った。これらの数字が相互関税の発表前の状況に起因していることは、全く無視して。