中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
China Can't Win a Trade War Against the U.S. for One Simple Reason | Opinion
消費主導の経済モデルを一貫して拒否
内外の専門家からの忠告にもかかわらず、習は消費主導の経済モデルを一貫して拒否してきた。
実際、中国の経済システムは現在、個人消費を抑制する方向に設計されている。例えば、銀行の預金金利を意図的に低く抑えることで、工場などへの貸付を優遇し、その結果として消費者の購買力が削がれているのが実情だ。
習近平にとって、市民に力を与えるという発想は存在しない。さらに、米シンクタンク、外交問題評議会のソンユアン・ゾーイ・リューがフォーリン・アフェアーズ誌への寄稿で指摘するように、中国共産党指導部は消費活動そのものを嫌っており、「消費は個人主義的な気晴らしであり、中国の中核的な経済力、すなわち産業基盤から資源を奪うもの」と考えているという。
習は製造業を強化することで、共産党主流派を満足させ、経営難にある国有銀行を支え、さらには軍備増強にもつなげている。だが彼の政策は、過剰生産能力の問題を緩和するどころか、むしろ悪化させている。
関税を好むトランプに対し、習は挑発的な姿勢を取り続けてきた。しかし、客観的要因を見ていくと、中国がこの貿易戦争に勝てないことは明白だ。
まず、経済規模の違いがある。中国の経済はアメリカの3分の2以下にとどまっている。2024年、アメリカのGDPは約29.2兆ドルに達したのに対し、中国国家統計局が報告したGDPは18.8兆ドル。ただし、この数字は水増しされている可能性が高い。