中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
China Can't Win a Trade War Against the U.S. for One Simple Reason | Opinion
トランプが今、中国の将来を左右できる立場
さらに、中国は貿易黒字国である一方、アメリカは貿易赤字国だ。米中間でモノの輸出額から輸入額を引いた2024年の貿易赤字は2954億ドルに達し、2023年より5.8%増加している。
貿易黒字国は貿易戦争において武器を持たない。失うものが大きいのは黒字国のほうだ。
消費主導の経済モデルを拒否してきた習は、経済再建の手段として輸出にほぼすべてを賭けている。だが中国経済は昨年、政府当局が「目標を達成した」と発表した成長率5%を実際には達していない。足元ではデフレ傾向にあり、実質的にまったく成長していないとの見方もある。
「トランプ大統領は、関税で彼ら(中国)のビジネスモデルを破壊した」と語るのは、スコット・ベッセント米財務長官。4月4日に配信されたFOXニュース司会者、タッカー・カールソンの番組でこう述べた。
「中国は我が国との間に巨大な貿易黒字を抱えている。彼らにはアメリカ市場が必要で、それがなければ生き残れない」
要するに、習近平は中国経済の命運を、替えのきかない輸出先であるアメリカ、まさにその国のリーダーの手に委ねたことになる。トランプが今、中国の将来を左右できる立場にあるということだ。
貿易を専門とする米エコノミスト、アラン・トネルソンは4月7日、本誌の取材にこう語った。「今の習近平の立場にはなりたくないね。彼のリボルバーには空の弾倉がある」