鳴り響く空襲警報と、豊かな伝統・文化...「戦時下」イスラエルで見た複雑な「日常」
取材の合間に空襲警報が鳴りシェルターに一時避難
また世界的にもよく知られたサイバーセキュリティ企業チェック・ポイントを訪れると、その先進的なオフィスから、1993年の設立から今日まで、サイバーセキュリティ業界を牽引してきた存在だというのがわかる。イスラエルは国策として、革新技術の研究開発を推し進めてきた国としても、世界的な評価も高い。
ただテルアビブでの取材の合間には、イスラエルに向けてミサイルが発射されたことを伝える空襲警報が鳴り響き、シェルターに一時避難することもあった。防空迎撃システムのおかげでイスラエル国内の被害はほぼないが、これもまたイスラエルの現在の日常の姿である。
2023年のテロ攻撃でイスラエルからガザ地区に連れ去られた人たちの中には、今も解放されていない人も多い。テルアビブで話を聞いたアミット・シェム・トブ(25)の弟は2月に解放されて帰還したばかりで、今も社会復帰のために病院にリハビリに通っているという。「早く平和が戻ることを祈る」と語る。
和平の行方に世界の注目が集まるイスラエル。万博でイスラエルの展示に触れ、文化を感じることもこの複雑な立場にある国を理解する一助になるのではないだろうか。
花井亨(フォトグラファー)
日本大学芸術学部写真学科卒業後、東京スポーツ新聞社写真部入社。2005年ロイター通信写真部入社。東日本大震災取材でPOYiとCHIPPを受賞。3度のオリンピック(ロンドン、リオ、東京)と3度のサッカーW杯(南ア、ブラジル、ロシア)を取材。ナショジオトラベラー表紙を2度飾る 2019年2月からフリーランス。

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