鳴り響く空襲警報と、豊かな伝統・文化...「戦時下」イスラエルで見た複雑な「日常」
万博でもハスモン朝初期に遡る建築石を展示
今回の関西万博でも、イスラエル・パビリオンの中心には、約2000年前のハスモン朝初期に遡る建築石が展示される。エルサレムで発見された貴重な考古学的遺物だ。
エルサレムと言えば、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの宗教にとっての聖地として知られるが、伝統的な服装を着用した超正統派ユダヤ教徒の人々の姿を街のいたるところで見かける。エルサレムにあるキリスト教のイエス・キリストが死刑判決を受けたとされる「ピラトの官邸」跡地から、イスラム教の聖地である「岩のドーム」も見ることができる。今も宗教の歴史が息づいていると感じる。
一方で、旧市街の各地は、武装した治安部隊員の姿も散見され、中東和平問題の現場であるという現実を垣間見せる。
ヨルダンにも近い死海も訪問したが、現地の人に話を聞くと、テロ事件以降は観光客の姿は減ったようだ。だが死海のミネラルなどが美容効果が高いとして、世界的な注目度は高い。近くの砂漠地域からは死海塩を処理する工場も見ることができる。
もう一つ、イスラエルといえば忘れてはならないのが、ハイテク分野だ。テルアビブでは、2016年に他界したシモン・ペレス元首相とAIで会話ができる「ペレス・平和イノベーションセンター」もある。