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お父さんはなぜ「プリン窃盗犯」扱いされたのか...3つの問題点を検証する

2025年4月7日(月)12時05分
印南敦史(作家、書評家)


 私が取り組んでいる冤罪の研究は、つまるところ「人はなぜ間違えるのか」という研究です。そして、この「人はなぜ間違えるのか」という問題は、冤罪だけでなく、世の中のありとあらゆる間違いの原因とも共通しています。(「序章 人は誤る」より)

なるほど、「冤罪はよくないこと」だという認識を持ちつつも、その本質的な部分をきちんと理解している人は意外と少ないのかもしれない(もちろん、私も含めての話だ)。

誰も犯行を目撃していない

そこで、ここでは「思い込みが冤罪を作る」という項目をクローズアップしてみたい。モチーフになっているのは「冷蔵庫のプリンを食べたのは誰だ」という、どこの家庭でも起こりそうな問題だ。

子を持つ父親なら一度くらいは、「冷蔵庫にあった私のプリン、食べたでしょ」と子どもから文句を言われた――すなわち加害者扱いされた――というような経験があるのではないだろうか。

つまりここではそのような日常性から、冤罪について考察しているのである。


 お父さんが冷蔵庫にあった子どものプリンを食べた場合、子どもの財物を窃取しているわけですから、お父さんは「他人の財物を窃取した者」にあたり、窃盗罪(刑法235条)が成立します。法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
 ただし、窃盗罪には親族間の犯罪に関する特例(刑法244条1項)というものがあり、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪を犯した者についてはその刑が免除されることになっています。(56ページより)

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