グループチャットの全公開で軍事機密漏洩が証明されてもシラを切り、逆に告発記事をフェイク呼ばわりするトランプ政権
Jeffrey Goldberg Releases More Trump Admin Signal Messages

そろってグループチャットに参加していた「3バカ」高官(左からバンス副大統領、ヘグセス国防長官、ウォルツ安全保障担当大統領補佐官)REUTERS/Evelyn Hockstein
<攻撃開始時刻や兵器まで事前に投稿しておきながら、機密情報は含まれていないと言い張るホワイトハウス。告発したアトランティック誌の「でっち上げ」として責任を取る気配はない>
トランプ政権の安全保障担当の中枢メンバーが民間のメッセージアプリのグループチャットで機密扱いの軍事作戦を協議していた問題で、米誌アトランティックが協議内容の全面的な公開に踏み切った。同誌のジェフリー・ゴールドバーグ編集長が誤ってこのチャットに招待されていたため一部始終が明らかとなり、「軍事機密など投稿していない」という政権側の嘘が明らかになった。
イエメンのシーア派武装組織フーシ派に対する空爆作戦について、ピート・ヘグセス米国防長官は一般のメッセージアプリ「シグナル」でグループチャットのメンバーに共有した情報には、攻撃の具体的なスケジュールなども含まれていた。
「今は東部時間の11時44分。天候は良好。さきほどCENTCOM(アメリカ中央軍)に任務開始を確認した」──ヘグセスは戦闘機F18ホーネットが空母を発艦する30分前、爆撃開始の1時間前に、シグナルにこう投稿していた。
ホワイトハウスは、アトランティック誌が当初フーシ派攻撃を「戦争計画」と呼び、後になって「攻撃計画」に訂正したことを殊更に取り上げて、記事のすべてが事実無根だったかのように非難している。
マイク・ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障担当)が誤ってグループチャットに招待したゴールドバーグは、シグナルでやりとりされたメッセージには機密情報は含まれていないとするトランプ政権の主張を3月26日朝に公開された記事で、次のように批判した。
「このテキストを、アメリカの利益に敵対する勢力か、あるいは単にそれをSNSで拡散する軽率な人間が受信したら、フーシ派はあらかじめ攻撃に備えることができ、彼らの拠点をたたく作戦は電撃戦ではなくなっていた」
「米軍機は壊滅的な被害を受け、多大の人的損失が生じただろう」と、ゴールドバーグは指摘した。