「カナダのトランプ」が失速した原因は本家トランプ?
Trump Shoots Himself in the Foot
実際、1年前に調査会社ポラーラが実施した世論調査では、保守党支持者の40%がトランプを支持し、当時の現職米大統領ジョー・バイデンの32%を上回っていた。2020年に新型コロナウイルスの感染爆発が始まった頃も、保守党支持者の30%以上は「トルドーよりも(当時の現職米大統領だった)トランプにカナダを率いてほしい」と答えていた(もちろん与党・自由党支持者での同様な回答は2%にすぎなかった)。
外交面でも、ポワリエーブルはトランプの考え方に近い。現にウクライナ戦争に関しては、和平を望むならウクライナ側がロシアに一定の譲歩をすべきだと主張している。
ところがトランプは、そんなポワリエーブルの政権奪取を難しくしてしまった。今やカナダ国民の多くは、政治的立場を問わず、アメリカに対する報復関税の発動を支持し、カナダ併合を唱えるトランプを強く非難している。
こうなると保守党は苦しい。国内の経済問題の責任を自由党に押し付ければ総選挙は楽勝と踏んでいたのに、気が付けば対トランプで挙国一致の対応が求められる情勢だ。トランプを怒らせたのは自由党だと、いくらポワリエーブルが叫んでもむなしい。
自由党の支持率が劇的に回復する保証もない。しかし、たとえ次の総選挙で保守党が勝っても、カナダ国民はトランプ政権への敵意を抱き続けるだろう。