欧州最強?「ドイツ・トリオ」はEUの導き手となりうるか
EUROPE’S NEW POWER TRIO

(写真左から)メルツ、フォンデアライエン、ウェーバー MAJA HITIJ/GETTY IMAGES
<極右の台頭などが懸念されていたドイツ総選挙だが、EUにとっては安心の結果となった。メルツ、フォンデアライエン、ウェーバーの3人にかかる期待と解決すべき課題とは?>
EUにとって心強い選挙結果だった。2月23日に行われたドイツ総選挙では、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党になり、同党を率いるCDUのメルツ党首の次期首相就任が確実だ。
メルツは中道左派の社会民主党(SPD)と連立協議を開始し、3月8日には正式交渉に入ることで基本合意したと発表。2005年以降、4度目の大連立政権が誕生すれば、3党連立で波乱続きの前政権より一貫性と安定感があるはずだ。何より、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と、欧州議会の最大会派、欧州人民党(EPP)のウェーバー代表の足並みがそろう。
CDU所属のベテラン政治家であるフォンデアライエンは、昨年12月に欧州委員長として2期目の新体制に入り、権力は盤石だ。ドイツ政界で師と仰いだメルケル元首相の政敵だったメルツとは緊張関係にありそうだが、取りあえず敵対してはいない。
メルツは、CDUと姉妹関係にあるCSU所属のウェーバーとはより近しい。ウェーバーはEU機関でフォンデアライエンに次ぐ権力者。この2人の関係は良好だ。
CDU・CSUの絆で結び付いたトリオは、欧州に不可欠な競争力強化を促す経済改革に踏み切ることになりそうだ。