「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
My Gen Z Class Is Eerily Silent

筆者(中央)と大学の新入生たち COURTESY OF BILL BERGMAN
<異様に静かな大学1年生の教室の様子から、デジタルに頼りすぎる世代の深刻な問題に気付いた>
大学での昨年の秋学期、私が受け持った1年生は32人。しかし彼らは、私の知る大学生とはまるで別の生き物だった。みんな、不気味なまでに静かだった。新学期の最初のうちなら珍しくもないことだが、それが年末までずっと続くとは思ってもいなかった。
この年の1年生は、前の学年のZ世代とは明らかに違っていた。話すことが必要ではない世界で生きているかのようだった。グループで取り組む課題を与えても、グループチャットやグーグルドキュメントを利用するのみ。
欲しい情報や商品、食べ物は何でもアマゾンやグーグルで手に入るから、他人とじかに話す経験がほとんどないようだ。
だから授業中に指名して質問をぶつけると、彼らは変に身構えてしまう。しゃべる必要のないデジタル空間で、ずっと生きてきたからだ。
デジタル依存が招く不安や抑鬱に、彼らは気付かない。自分の視聴・購買データを業者に握られても気にしない。ネット上のインフルエンサーを信じて喜々としてフォローし、確かめもせずに怪しげな口コミ情報を受け入れる。
状況は深刻だ。1年生の授業を担当する教員は早い段階で時間を割き、学生たちが肉声で話すスキルを磨くように仕向けないといけない。
パワーポイントを使ったプレゼンの技術を教える必要はない。そうではなく、生身の人間と語り合い、互いを理解し合う方法を教える。そうしてこそ、彼らをデジタル空間の孤独から救い出せる。