得票率は前回比で倍増、約21%に...極右政党AfDとドイツ政治の危うい行方
No Longer on the Margins
あの頃「党の顔」だったのは、旧西ドイツ出身で40代の元教師ビョルン・ヘッケ。AfDでも最高に過激な派閥「フリューゲル(翼)」を率いていた。
「AfDと共に育った」
ヘッケはナチスへの共感と欧米流民主主義への嫌悪感を公言してはばからない。ベルリン中心部にあるホロコースト記念碑を「恥の記念碑」と呼んだ発言が問題視され、党内の穏健派からも「ドイツの政治家として不適格」と批判されたこともある。
それでもヘッケのおかげでAfDの支持基盤は広がった。19年の地方選ではチューリンゲン州議会でAfDが約23%の票を獲得した。昨年には約33%まで伸ばし、ついにAfDは同州の第1党となった。
今度の総選挙でも強かった。ヘッケの率いる同州でAfDは過去最高の38%の票を獲得した。それでもAfDの政権参加を拒めたのは、CDUを含む中道派の諸政党と左派の小政党が主義主張を超えて連立を組んだからだ。
もう1つ不安な要素がある。旧東ドイツ側では若い世代にAfDの支持者が増えているという現実だ。今回の選挙では24歳未満の男性有権者の3人に1人がAfDに投票した。「これらの若者はAfDと共に育った。両親ともAfDの創設以来の支持者という家庭が多い」。そう指摘したのは世代研究所のマースだ。