為替市場に「トランプ介入」不安...G20合意も、円や元を名指しする
日銀飛び火の思惑
実際に日本政府に連絡があったかは現時点で分かっていない。加藤勝信財務相は4日の会見で、「(日本は)通貨安政策は取っていないし、先般の為替介入をみれば、ご理解いただける」と語った。
しかし、市場にはこうしたトランプ政権の姿勢が、日銀の金融政策に飛び火するのではないかという思惑がある。名目金利から物価変動の影響を除いた実質金利は、日本がまだマイナス圏から抜け出せておらず、主要7カ国(G7)では突出して低い。
「日本の実質金利のマイナス幅は世界的にみてまだ相応に大きい。トランプ政権が日銀の金利正常化の遅れが円安の要因のひとつと判断すれば、日本政府を通じて金融政策に踏み込んだ外圧をかけてくる可能性も否定できない」と、大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは語る。
4月23、24両日に米ワシントンで予定されるG20財務相・中銀総裁会議を控える。それに先立ち「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)以上に、為替は政治的な思惑で上下しやすい」(前出の石月氏)との警戒感が残る。
円140円割れ警戒
ドル/円は、2024年7月3日に161円94銭と、1986年12月以来38年ぶり(当時)の安値となった以降、累次の為替介入などを経て円高傾向にある。直近では、一時148円56銭と、約4カ月ぶりの円高水準を付ける場面があった。