石破・トランプ「蜜月」の裏で浮かび上がった「意識のギャップ」...世論調査で見えた日米関係の今後
Caught in the Shockwave
「尖閣有事」への警戒感
だが重要な同盟国のためでも、アメリカ人が支持する行動には限界がある。日米安全保障条約が定めるアメリカの防衛義務の対象である尖閣諸島を中国が占拠した場合、米軍を投入して奪回することに米国民の過半数は反対だ。
上記の世論調査では、中国が台湾に軍事侵攻した場合、米軍が台湾を防衛すべきと考える回答者の割合が日本では69%に上った。一方、アメリカでは世論も政策専門家も、前向きな意見を示していない。
米シカゴ国際問題評議会の世論調査では、アメリカ人は中国との軍事衝突の回避を、米中関係の最優先事項に挙げている。こうした考えは、同盟国や友好国に関わる危機の場合でも同様だった。
ライバル国との戦争に、自国の軍隊を送り出したがらない心情は理解できる。だが日本の支援に及び腰な傾向からは、日米同盟の条文と国民の意見の間に横たわる大きなギャップが浮かび上がる。
アメリカ側だけではない。以前、シカゴ国際問題評議会と日本国際問題研究所が実施した調査では、危機の際に自衛隊が広範な役割を担うことに日本の世論は反対だ。
賛成者が比較的多かったのは、戦闘地帯の外で兵站支援を提供することだけ。広く支持される強力な軍事同盟のイメージとは、そぐわない現実だ。