開発費用たったの560万ドル...ディープシークの衝撃は「中国の逆襲」の始まりか

DeepSeek Shock Waves

2025年2月13日(木)16時02分
マイカ・マッカートニー、シェーン・クロウチャー、シオ・バーマン

ラッセルによると、最大の驚きは訓練コストの金額と使用している半導体チップの数だ。

「市場は震撼した。マイクロソフト、メタ、オープンAIなどの米企業は新しい世代のシステムの訓練と運用に必要だとして、半導体とデータセンターに莫大な投資を行ってきたからだ。その前提が間違っていて、はるかに安く実現できるなら、そうした投資の大半は無駄ということになる。特にエヌビディアの半導体の需要予測はかなり減るだろう」

エヌビディアの広報は本誌に対して、次のように述べた。

「ディープシークはAIの素晴らしい進歩で、テストタイム・スケーリング(モデルの推論の計算量が増えるほど精度が向上する法則)の完璧な例だ。広く利用されているモデルと(アメリカの)輸出規制に準拠した計算能力を活用して、いかに新しいモデルを作成できるかを示している。推論には膨大な数のエヌビディア製GPU(画像処理半導体)と高性能のネットワークが必要だ」


人類を滅亡させる可能性

マイクロソフト、メタ、アマゾン、アルファベットがAIプロジェクトに費やす金額は、今年だけで総額最大3000億ドルに達するとみられる。

ドナルド・トランプ米大統領は1月21日、オープンAI、オラクル、ソフトバンクグループが新事業「スターゲート」を立ち上げ、米国内でAI関連のインフラ整備に今後数年で5000億ドルを投資すると発表。

「アメリカの将来性への明確な信任投票だ。AI技術の未来が保証され、技術をこの国にとどめるだろう」と、トランプは語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナでの戦闘再開、「復活祭の停戦」終了=プー

ビジネス

トランプ氏、早期利下げ再要求 米経済減速の可能性と

ビジネス

関税の影響「控えめの公算」、FRBは状況注視=シカ

ワールド

ローマ教皇フランシスコ死去、88歳 初の中南米出身
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 4
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 5
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 6
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 9
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 10
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中