開発費用たったの560万ドル...ディープシークの衝撃は「中国の逆襲」の始まりか
DeepSeek Shock Waves
しかしディープシークの躍進は、アメリカが設計したAI半導体の中国への販売を規制するという外交政策の重要な柱を弱体化させかねない。トランプの今後の選択肢について、ムサビサデは次のように説明する。
「半導体へのアクセスを封じ込め、壁を閉ざし続けることもできる。その間にデータインフラへの投資を強化して、アメリカのAI開発を支援し、開発競争で優位に立つこともできるだろう」
「あるいは門戸を完全に開放して、『誰もが全てにアクセスできることが、全ての人にとって有益だ』と言うこともできる。門戸を閉ざすことは、おそらく世界全体の開発を遅らせる。彼(トランプ)は間違いなく前者に傾くだろう」
AI競争の勝者が誰になるにせよ、ラッセルは業界全体に警鐘を鳴らす。より大規模なデータセンターをめぐる競争は、「1960年代に米ソが大規模な爆弾の開発と実験を競ったことに似てきている。両国は全てが無意味だと気付くまでに数十億ドルを無駄にして、10万人を殺せる量の放射能を大気中に放出した」
「企業間や国家間の『AI競争』はある意味で似ているが、さらに深刻だ。競争に参加しているCEOたちさえ、誰が勝つとしても競争の過程で人類を絶滅させる可能性はある、と語っている。私たちより賢いシステムを制御する方法を知らないからだ」
ラッセルが言うように、これは「崖っぷちを目指す競争」だ。

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