最新記事
ジェンダー

若者のジェンダー観、大人よりも「保守的」? 6割が持つ「意外な認識」とは【最新調査】

2025年2月3日(月)10時10分
アシュリー・パークス

トランスジェンダー保護には「広域の支持」

ピュー・リサーチ・センターのリサーチ・アソシエイトであるアンナ・ブラウン氏は、この調査に関するQ&Aの中で次のように語っている。

「アメリカ人のジェンダー認識やトランスジェンダー問題に関する意見は非常に複雑で、単純には割り切れません。多くのアメリカの成人は、『人のジェンダーは出生時の性別によって決まる』と考えており、その割合は年々増加しています。一方で、未成年の性別移行のための医療ケアを制限することや、トランスジェンダーのアスリートが出生時の性別に基づいた競技に参加することを求める声もあります。しかし同時に、トランスジェンダーの人々を差別から守る法律や政策には広範な支持があるのも事実です。社会がトランスジェンダーの人々を受け入れるためにまだ努力が必要だと考える人もいれば、すでに受容が行き過ぎていると考える人もおり、世論は大きく分かれています」

ジェンダー認識に関する議論が今後の政策や社会規範を形成していく中で、今回の調査は世代間や政治的立場の違いを理解するうえで貴重な示唆を与えている。学校、政策立案者、支援団体などは、このデータを参考にしながら、ジェンダーの包括性、カリキュラムの策定、若者のメンタルヘルス支援といった分野で議論を進める可能性がある。

また、この調査は「若い世代ほどジェンダーに関してリベラルな価値観を持つ」との一般的なイメージが必ずしも正しくないことを示している。ただし、社会的な態度の変化や議論の継続によって、これらの意識が今後どのように変化していくかは注目される。今後の研究では、多様な視点への接触、ソーシャルメディアの影響、政策の変化がアメリカ社会のジェンダー観にどのような影響を与えるのかがさらに分析されるだろう。

【参考文献】
JULIANA MENASCE HOROWITZ (2025). U.S. teens are less likely than adults to know a trans person, more likely to know someone who's nonbinary, Pew Research Center.

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正-セブン&アイ、クシュタール提案「現実的に評価

ワールド

ドゥテルテ前比大統領、国際刑事裁が逮捕状発布なら応

ビジネス

米エネルギー長官、石油・ガス業界幹部と会合 許認可

ビジネス

今春闘「力強いモメンタム」と経団連会長、中小や非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 3
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 9
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中