「平和で公正な社会はつくれる」----キング牧師の娘が語る「父とジミー・カーター」
A COURAGEOUS LEADER
キングへの自由勲章をコレッタ夫人に手渡すカーター(右端はキングの父) BETTMANN/GETTY IMAGES
<選んだ道は違っても彼は父の夢を体現した──二人の足跡を、末娘バーニス・アルバーティン・キングが振り返る。「勇気ある指導者」の遺したものとは?>
わずか5年違いで米ジョージア州に生を受けたジミー・カーター(Jimmy Carter)とマーチン・ルーサー・キングJr.(Martin Luther King Jr.)。
共に公民権運動の最中に政治活動に身を投じて頂点に上り詰め、当代随一の指導者として歴史に名を残した。
実際に顔を合わせることはなかったにもかかわらず、2人の関係は半世紀余りにわたってダンスのように複雑に絡み合い、互いの「遺産」を永遠に方向づけることになった。
「彼(カーター)と父の人生のスタートは違っていた」と、昨年12月29日に100歳で死去した元米大統領について、公民権運動の象徴的指導者だったキング牧師の末娘バーニス・アルバーティン・キングは本誌に語った。
「でも面白いことに行動の価値基準は似通っていた。それは、フェアで人道的で平和で公正な社会はつくれるという信念だ」
にもかかわらず、カーターとキングは全く別の道を選んだ。
キングはアトランタのエベニーザー・バプテスト教会の有力な牧師で公民権運動の初期の活動家を父に持ち、有色人種の公民権の促進に生涯をささげた。
人種差別撤廃、投票権および労働者の権利を訴えたデモ行進など、彼の抗議活動は1964年の公民権法や65年の投票権法など画期的な法律につながった。
一方、南部の白人至上主義者の息子として生まれたカーターは、政界入り直後は人種問題で物議を醸すようなスタンスを避けていた。
ジョージア州上院議員時代は人種差別的な発言をしたことも人種差別主義的な議員たちに同調したこともなかったが、キングが成立に助力した画期的な法律を支持する発言はせず、68年のキングの葬儀にも参列しなかった。
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