最新記事
カーター

「平和で公正な社会はつくれる」----キング牧師の娘が語る「父とジミー・カーター」

A COURAGEOUS LEADER

2025年1月29日(水)15時29分
キャサリン・ファン(国際政治担当)

newsweekjp20250129033252-743f36aa68b29993087966225173a51137af1730.jpg

父とカーターの絆を語るキングの娘バーニス COURTESY OF THE KING CENTER

ところが71年に州知事に就任すると、一転して「人種差別の時代は終わった」と宣言。南部の白人支持者の多くに衝撃を与えた。キングの葬儀から3年近くが過ぎていた。

キングがテネシー州メンフィスで暗殺された当時わずか5歳だったバーニスは、カーターについて次のように語った。

「父が目指したことの大筋を推進する手助けをした。それは世界から貧困と人種差別と軍国主義を一掃することだった」


州知事に就任した瞬間から、カーターはそれまで避けがちだった公民権運動の推進に残りの人生を費やすことになった。

州知事1期目には、州議会議事堂の壁を飾る南北戦争の英雄や人種差別主義者らの肖像に黒人であるキングの肖像を加えるという歴史的決断を下した。

キングの遺族は、カーターが政界で頭角を現していく姿を見守っていた。キングの父親マーチン・ルーサー・キングと妻のコレッタ・キングは、76年の民主党全国大会をカーターへの祝福の言葉で締めくくった。

アメリカを本来の場所に戻すべく主が彼を遣わされたに違いない──キングの父親の声が会場に響き渡った。

「公正かつ人道的」な社会に

あの出来事は「カーターの大統領選出に非常に大きな役割を果たした」と、バーニスは言う。

「当時アメリカでは、公民権運動が下火になる一方、人種差別撤廃やその類いの動きはまだ始まったばかり。カーターといえども黒人の支持を確実に獲得できるかどうか分からなかった」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

24年ブラジル基礎的財政収支、GDP比0.36%の

ビジネス

ブラックストーン、10─12月手数料収入が過去最高

ビジネス

USスチール、第4四半期決算は減収・赤字 需要環境

ワールド

ロシア、ウクライナの集合住宅にドローン攻撃 9人死
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中