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荒川河畔の「原住民」(19)

「ホームレスになることが夢だった」日本人男性が、本当にホームレスになった

2025年1月24日(金)06時30分
文・写真:趙海成

その日から、彼女はある決断をした。

ホームレス男は、ゴミ置き場でパンを拾って、空腹を満たした後にも、残りのパンで2日間食べることができた。3日後、ホームレス男は再びそのゴミ置き場に行き、また多くのパンがあったので拾った。それ以来、3日おきに多くのパンが置かれ、まるでホームレス男が取りに来るのを待っているようだった。

ホームレス男は、食べ物が見つからないことに悩む必要がなくなったことを喜んだ。きっと思いやりのある女性がひそかに自分を助けてくれているに違いないと思った。

そんな生活が1年続いたある日、ホームレス男は突然、パンを取りに来なくなった。その公園から追い出されたからだ。

彼は公園を去る前に、彼女の長年の善意に感謝と別れを告げたいと思っていた。しかし、その勇気がなく、もしも会えばお互い気まずい思いをするのではないかと恐れ、相手に迷惑ではないかと心配もしていた。

私は征一郎さんに「その女性を見たことがあるのですか?」と聞いた。

「一度もありません」と、征一郎さんは言った。

「どうしてパンを届けてくれたのが女性だと分かったんですか?」

「きちんと包装された大きな袋のパンを手で触るたびに、これはきっと丁寧で優しい女性が包んだに違いないと感じたのです」

そして征一郎さんは、公園を出た後、荒川河川敷の大きな橋の下に移り、小さなテントを張って住み始めた。

大きなセメントの橋脚を除けば、周りは雑草だらけの荒野だ。橋の上からは自動車が通過する際の轟音が聞こえてくるが、橋の下はがらんとして人影がほとんど見えないほど荒涼としている。彼の小さなテントだけがそこにぽつんと立っている。

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