トランプ政権が直面する「敵対勢力の結束」...外交で新たな課題
1月21日、トランプ米大統領は1期目に敵対国のロシアや北朝鮮と公然と友好関係を築く一方、中国やイランには個別に圧力をかける独自の外交を展開した。写真は20日、ワシントンで行われた就任に伴う舞踏会でスピーチするトランプ氏(2025年 ロイター/Daniel Cole)
トランプ米大統領は1期目に敵対国のロシアや北朝鮮と公然と友好関係を築く一方、中国やイランには個別に圧力をかける独自の外交を展開した。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に米国の敵対勢力は結束を強めており、トランプ氏は1期目とは異なる課題に直面している。
20日に大統領に就任したトランプ氏は米軍を増強する一方で、ウクライナでの戦闘を終結させ、イランの核開発を抑制し、中国に対抗することを誓った。だが、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は「制約のないパートナーシップ」を築いており、中国はロシアに対してウクライナでの戦闘を維持するのに必要な経済支援をしている。
プーチン氏と習氏は21日、両国の戦略的パートナーシップのさらなる深化について話し合った。
一方でプーチン氏は、24年6月に北朝鮮と、今月17日にイランとそれぞれ包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。
バイデン前大統領に指名されたニコラス・バーンズ駐中国大使が「神聖でない同盟」と呼んだ米国の敵対国4カ国のグループは、米国と同盟国にとって影響力の喪失につながるとアナリストは指摘している。
オバマ米政権で東アジア政策の責任者を務めた、米首都ワシントンのアジア・ソサエティー政策研究所のダニエル・ラッセル氏は「『ロシアと仲良くしたい』との願望を表明し、貿易で中国を封じ込めようとしているトランプ氏にとってのジレンマは、中ロの連携という制約ゆえにロシアは米国との関与にあまり意欲的でなくなると同時に、中国は米国の圧力による影響を受けにくくなることだ」と語った。
ロシアが欧米の厳しい制裁を乗り切ってこられたのは、中国によるロシア産石油の大量購入と、バイデン前政権がロシアの防衛産業基盤を支えていると指摘したデュアルユース製品(軍事、民事両方で利用可能な製品)の供給のためだ。
北朝鮮はロシアに対してウクライナ戦闘のための兵士と武器を供給し、核ミサイル計画を急速に進めている。専門家らは、イスラエルの攻撃によって弱体化したもののイランが核兵器製造に向けた取り組みを再開するのではないかと懸念している。