最新記事
新型コロナウイルス

トランプ新政権で、コロナ「中国の責任」追及が再開する可能性

CAN TRUMP ELUCIDATE COVID’S ORIGIN?

2025年1月20日(月)16時30分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)
武漢ウイルス研究所

機能獲得研究を行っていた武漢ウイルス研究所起源説の真偽が明らかに? THOMAS PETERーREUTERS

<コロナウイルスは武漢の研究所から流出したのか? バイデン政権は中国の責任に関する議論を封じたが、新政権では「望み」がある。パンデミック再来を阻止するためにも真相解明は必要だ>

新型コロナウイルスの感染爆発によって、世界で約710万人が死亡。2019〜2021年の間に世界の平均寿命は1.6歳短くなった。多くの国の経済が混乱し、人々の暮らしが圧迫された。これまで誰もその責任を問われてこなかったが、トランプ新政権の誕生でこの状況が変わることになるのか。

新型コロナウイルスが出現してから5年。その発生源がどこかは依然として分かっていない。中国武漢の海鮮市場から自然発生したのか。それとも、コウモリ由来のコロナウイルスの研究が行われていた武漢ウイルス研究所から流出したものなのか。


中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、新型コロナウイルスの発生源の調査を開始しようとする国際的な取り組みを、「起源追跡テロ」だと批判して阻止。習が認めた唯一の調査は、2021年に中国の管理下で行われたWHO(世界保健機関)との共同研究だけだった。

コロナ禍が始まった当時大統領だったトランプは中国と新型コロナウイルスの関連を幾度も主張したが、後を継いだバイデンは中国の責任を追及しなかった。バイデンは21年1月の就任直後、新型コロナウイルスの地域的な発生源に言及しないよう政府機関に求める大統領覚書に署名した。

バイデンの決定はアジア系アメリカ人らに対する嫌がらせを阻止するのが目的だったが、トランプやその支持者たちがあおり立てる人種差別への抵抗は、同時に、コロナ禍を引き起こした中国の責任に関する議論を封じてしまった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国首相、輸出企業に市場多様化促す 外部環境の重大

ビジネス

独ZEW景気期待指数、4月は-14.0 ウクライナ

ビジネス

世界EV販売、3月は29%増 中国と欧州がけん引 

ワールド

中国、対米摩擦下で貿易関係の多角化表明 「壁取り払
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中