管理教育が生徒に政治的無関心のメンタルを植え付ける maroke/photoAC
<学校内で管理・統制される日本の児童生徒が、自分たちにそのような権利があると思えるはずがない>
次期学習指導要領の改訂に向けた議論が始まっているが、今回初めて、教育を受ける側の児童生徒の意見も聴取されることになっている。
子どもが「年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会」を確保することは、こども施策の基本理念の1つだ(こども基本法第3条)。児童の権利条約第12条も、「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と定めている。子どもには、「意見表明権」というものがある。
しかし、日本の13~15歳の生徒に「社会において、こどもが自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえると感じているか」と問うと、肯定の回答割合は43.3%。アメリカの58.8%、ドイツの92.4%、フランスの78.5%、スウェーデンの88.0%と比べるとだいぶ低い。
そもそも、意見表明権があることすらあまり知られていない。<図1>は、「こどもには、自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえる権利があることを知っているか」と尋ねた結果をグラフにしたものだ。
中学生の年代の回答だが、日本では「自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえる権利」があることを聞いたことすらない、という者が半数以上を占める。他国の生徒と比べて、無知の度合いが大きい。
「君たちには意見表明権がある」と教師が口に出して教えないとか、メディアで報じられる頻度が少ないとか、そういう問題ではないだろう。日本の子どもは、上から管理・統制される。肌着の色まで指定するブラック校則に縛られ、異議を申し立てると「内申書に響く」などと脅される。こういう状況で、自分たちに意見表明権があると思えるはずがない。