プラごみの海に沈む地球を救う方法...「たった4つの政策」で廃棄は90%減できる

SOLVING THE PLASTIC PROBLEM

2024年12月18日(水)15時26分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)
ナイロビのごみ集積所でプラスチックを回収する男性

ケニアの首都ナイロビのごみ集積所でプラスチックを回収する男性 AP/AFLO

<今や海洋ごみの80%を占めるプラスチックごみ、廃棄量もガス排出も減らせる「4つの政策的アプローチ」とは>

サンフランシスコから車で約1時間の所にある人口約6万人の町、米カリフォルニア州ペタルーマ。この夏、町の中心部に大きな紫色のゴミ箱が姿を現した。上部にテイクアウト用のドリンクカップがぴったりはまる穴が開いている。

時を同じくして町の中心部にあるレストランやカフェなど約30軒では、同じ紫色の使い捨てではない丈夫なカップを使ったテイクアウト用ドリンクの提供が始まった。いずれも「ペタルーマ・リユーザブルカップ(Petaluma Reusable Cup Project)」という活動の一環だ。


「ペタルーマ・リユーザブルカップ」再利用できるカップ

ペタルーマの飲食店では再利用できるカップでテイクアウト用ドリンクを提供する実証実験で成果が KELLYANN PETRY/COURTESY OF CLOSED LOOP PARTNERS

これはアメリカ初の実証実験で、目的は何度も使えるテイクアウト用カップの利用拡大と使い捨てプラスチック製品の削減だ。使い捨てされたプラスチック製品はごみになったり、川の流れをせき止めたり、海洋生物の命を奪ったり、往々にして人間の健康を脅かす要因になっている。

「人類の未来と、社会全体で使っているプラスチックの量の多さに懸念を抱いている人はたくさんいる。行動を起こせば、そうした不安に対処できる」と、ペタルーマ市職員のパトリック・カーターは本誌に語った。

この実証実験は3カ月間行われ、関係者によれば延べ20万個のカップが回収・洗浄され、滅菌処理された上で各店舗に戻され、リユース(再利用)された。

「集まったデータから見て、今回の実験は成功だったと言える」と語るのは、今回の実証実験の仕掛け人の1人ケイト・デイリーだ。デイリーは投資会社クローズド・ループ・パートナーズ(Closed Loop Partners)でサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を担当している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは150円半ば、株高で円じり安

ビジネス

シカゴ連銀総裁、1年後の金利低下見込む 不確実性も

ワールド

退院のローマ教皇、一時は治療打ち切りも検討 担当医

ビジネス

インタビュー:ドル円は120円台が実力か、日本株長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中