「通商交渉の責任者は自分」トランプの陣頭指揮で米通商政策はカオスに

トランプという不確実性にどう備えたらいいのか REUTERS/Brian Snyder TPX IMAGES OF THE DAY
<自由主義か保護主義かではない。争点はどのような保護主義かだ>
ドナルド・トランプが2000年の米大統領選への出馬を模索していたとき、政権構想を記した書籍がある。通商政策の章は、こんな言葉で始まっていた──「私自身を通商交渉の責任者に任命する」。
11月の大統領選で大統領への返り咲きを決めたトランプは、1月20日に始まる2期目の政権でこの言葉を実質的に実行に移すつもりらしい。
大方の予想を裏切り、トランプは今回、政権1期目で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザーに要職を与えず、経験の乏しい人物をUSTR代表に指名。経済政策部門の上層部は、筋金入りの保護貿易主義者と自由貿易重視派の混成チームで構成することにした。
この人事を見る限り、通商政策ではトランプが陣頭指揮を執ることになりそうだ。
政権2期目の通商政策をめぐる焦点は、自由貿易か保護主義かではない。自由貿易派は既に発言力を失っている。問われるのは、どのような保護主義が実践されるのかだ。
トランプは早くも、1月20日の就任初日にメキシコおよびカナダからの「全ての輸入品」に25%の関税を課す方針を表明。そのすぐ後には、ブラジル、ロシア、インド、中国などのBRICS諸国が共通通貨を新たに設けるなど、国際貿易の決済でドル離れを進めるのであれば、100%の関税を課すとも述べた。
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