最新記事
独裁者

トランプが決めたことに文句は言えない「文化大革命時代の中国とそっくり」毛沢東との共通項

Trump’s Goal Is Chaos

2024年12月5日(木)10時40分
ハワード・フレンチ(コラムニスト)

newsweekjp20241204033927-6485586336fc5b541747f17b30eff7b8792702e8.jpg

バルコニーから拍手をする毛沢東 BETTMANN/GETTY IMAGES

学問は捨てろ。伝統には敬意を払うな。それが合言葉で、有能な管理者・経営者が徹底的に批判され、教育制度は破壊され、大学は実質的に機能を停止していた。

その一方、あの時代には毛沢東への絶対的な忠誠が求められた。権力の上層部にあってあの時代を生き延びるには、ひたすら毛沢東にこびを売るしかなかった。彼の知恵に疑問を呈する者(例えば当時の国家主席だった劉少奇)には解任と追放、そして死が待っていた。

newsweekjp20241204033957-caff1a0e6bb741cbfab3862ff716c381b5a4adb6.jpg

毛沢東の仕掛けた文化大革命で天安門広場を埋め尽くした若者たち BETTMANN/GETTY IMAGES


トランプへの絶対的忠誠

11月5日の米大統領選でドナルド・トランプが当選を決めて以来、筆者は何度もあの時代に思いをはせた。今でも中国では最悪の時代として記憶され、表立って口にすることもはばかられる時代だ。

復活を果たしたトランプの下で、アメリカが文化大革命並みの破壊と混乱と暴力を経験することになると、予測するつもりはない。アメリカの多元主義と長い歴史に裏付けられた民主主義の制度は頑強だから、あんな運命は回避できる。そう信じたい。

しかし絶対に大丈夫と言えるほどの自信はない。政権移行のプロセスはまだ始まったばかりだが、往時の中国との類似点が多すぎるからだ。

例えば、トップに立つ者への絶対的な忠誠心について考えてみよう。テキサス州を地盤とする共和党下院議員のトロイ・ネールスは最近、トランプを評してこう語っている。

「あの人には天から授かった使命があり、その目標と目的の全てを、私たちは一言一句、受け入れる必要がある。ドナルド・トランプが1メートルジャンプして頭をかけと言ったら、みんな1メートルジャンプして頭をかくんだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中