最新記事
環境保護

南米の環境保護、アマゾンに集中...砂漠や草原は関心薄く

2024年11月24日(日)11時43分

アマゾン熱帯雨林以外の生物多様性地域は、農業や牧畜の拡大による圧力にも直面している。パンカラル氏は「中西部全体がアグリビジネスに転換している。大豆からトウモロコシ、畜産まで何でもだ」と語り、環境面の対策が行われていないと訴えた。

国際貿易規制でも、他の生態系に比べてアマゾンの熱帯雨林により多くの保護が与えられている。例えば、欧州連合(EU)は26年に森林伐採に関連する商品の輸入を禁止し、アマゾンなどの森林地帯を保護する予定だが、草原やサバンナなどの他の生態系は対象外となる。


やはりアマゾンの広大な熱帯雨林を擁するコロンビアでも、アマゾン以外の生態系の保全に気候変動対策資金がほとんど割り当てられていないと先住民リーダーのカミロ・ニーニョ氏は言う。同氏は、自身が暮らすシエラ・ネバダ山脈が、アマゾンの森林に水を供給する河川の水源として不可欠だと強調、「だから保護は全体的に行わなければならない」とした。

環境保護活動家のヤナ・ゲボルジャン氏は、森林以外の生態系についてはほとんど知られていないと指摘。「まだ十分に理解さえされていない生態系があり、その分布を世界的にマッピングできるだけの十分なデータが不足している」と述べた。

ゲボルジャン氏が率いる官民組織「地球観察グループ(GEO)」は先月、26年までに世界の生態系をすべて地図化することを目的とした「グローバル・エコシステムズ・アトラス・イニシアティブ」を開始した。

目的は、軽視されたり無視されたりすることの多い自然地域の健康状態を把握するためのデータ収集だ。

「孤立して存在している自然空間はひとつもない」と先住民リーダーのパンカルル氏は語った。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中