最新記事
インフラ

ウクライナの電力がロシア軍の攻撃にも持ち堪えている理由

Decentralized energy powers Ukraine's resilience against Russia

2024年11月21日(木)15時49分
アミール・ダフタリ
ウクライナ最大の民間電力会社「DTEK」のティムチェンコCEO

電力供給でロシアと戦う、ウクライナ最大の民間電力会社「DTEK」のティムチェンコCEO(2022年3月、ウクライナ西部) REUTERS/Max Hunder

<冬が近づくたびに激しさを増すエネルギーインフラ攻撃に備え、迅速な復旧が可能な電源に切り替えた>

ロシアがウクライナのエネルギーインフラを狙ったミサイル攻撃を続けるなか、ウクライナの電力復旧の取り組みを主導しているのが、ウクライナ最大の民間電力会社「DTEK」のマクシム・ティムチェンコ最高経営責任者(CEO)だ。

アゼルバイジャンで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)に合わせて行われたインタビューの中で、彼は、エネルギー施設を再建しても攻撃で再び破壊されるので発電量が安定しないとデータを示しながら説明した。


 

ロシアとの戦争は既に3年近く続き、ウクライナの国土は荒廃したが、一方で再生可能エネルギーの導入ペースは加速している。「ほかにどんな選択肢があるだろう」とティムチェンコは問いかける。「ロシアの攻撃がないことをただただ祈るか、自分の仕事をして国民のために電力を復旧させるか。そのどちらかだ」

COP29のウクライナ・パビリオンには粉々に砕けた太陽光パネルが展示されている。これはロシア軍による破壊を思い起こさせるものであると同時に、ウクライナの回復力の象徴でもある。

従来型の石炭火力発電所は集中型の電源で攻撃に弱いが、分散型の電源である風力や太陽光などの再生可能エネルギーはより迅速な復旧が可能で、ロシアからしてみれば破壊し尽くすことがより難しい。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中