古代エジプト人が神の器で飲んだカクテルに入っていたのは「幻覚剤」と「アルコール」と人間の何?【最新研究】
Ancient Egyptians Drank Cocktail of Psychedelics, Body Fluids and Alcohol
紀元前330年〜30年ごろのプトレマイオス朝の時代には、この神の役割は拡大され、「神託や神秘的な儀式に関わる」使命を帯びるようになったと、この論文の主著者であるエンリコ・グレコは、本誌の取材に対して説明した。グレコは、伊トリエステ大学の化学・薬学部に所属している。
「ベスマグは、かねてから研究者の想像力をかきたててきた。発見当時の情報が限られている場合が多く、その使用目的が謎のままだったからだ。この研究は、このマグの使用法や意義を、最先端の科学技術を通じて探求した初めての機会だ」と、グレコは述べた。
今回検出された有機物の残滓の中には、ペガヌム・ハルマラと呼ばれる植物(ハルマル、ハーメル、シリアン・ルーなどの別名あり)の痕跡があった。この植物は薬用成分を含み、向精神作用も持っている。その種には、夢に似た幻覚を引き起こすアルカロイドのハルミンや、その類縁体のハルマリンが高濃度で含まれている。
向精神作用を持つ別の植物、ルリスイレンの痕跡も見つかった。こちらには、弱い鎮静作用と多幸感をもたらすアポルフィンと呼ばれるアルカロイドが含まれている。