古代エジプト人が神の器で飲んだカクテルに入っていたのは「幻覚剤」と「アルコール」と人間の何?【最新研究】
Ancient Egyptians Drank Cocktail of Psychedelics, Body Fluids and Alcohol
研究に使用された「ベス神のマグ」の3D模型 Cassidy Delamarter
<「ベス神のマグ」として知られる古代エジプトの器はいったい何に使われたのか? 長く研究者たちの想像力をかきたててきた器の残滓を最新科学で分析して浮かび上がったのは、予想外の中身だった>
謎めいた古代エジプトの「マグ」が、幻覚作用のある薬物やアルコール、人間の何らかの「体液」を混ぜ、精神に変容をもたらす「カクテル」として飲まれていたことが、研究によって明らかになった。
研究チームは、紀元前2世紀のものとされているこの遺物の高度な化学分析を実施した。その結果、さまざまな興味深い内容物の痕跡が残されていることが判明した。残留物から示唆される「複雑な液体の混合物」には、向精神作用や薬効をもつ化合物、発酵した液体、人間の血液やその他の分泌液、さらにはさまざまな風味づけの食材が含まれていた。
研究結果をまとめた論文は、『サイエンティフィック・レポーツ』誌に掲載された。論文の著者たちは、このマグは幻覚をもたらす儀式、おそらくは生殖能力と関連する儀式で使われていたと考えている。
この研究で取り上げられた遺物は、エジブトのベス神の頭部をかたどったマグで、長期にわたりさまざまな状況で発見されている。ベス神は、妊婦や子供の守護神としても知られている。