最新記事
米大統領選

なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】

WHY SHE LOST

2024年11月12日(火)17時58分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

それでもバイデンの支持率が、40%周辺を突き破ることはなかった。党内の圧力を受けて、ハリスに大統領候補のバトンを渡した後もそうだった。

GDPや雇用統計は好調でも、物価上昇は依然として人々の暮らしに重くのしかかり、バイデン政権に対する評価はマイナスのままだった。それは副大統領であるハリスの選挙戦を最後まで厳しいものにした。

大統領候補として全米のスポットライトを浴び、自分を売り込む時間が3カ月しかなかったことも、ハリスにとっては大きなハンディとなった。これに対してトランプは、ある意味で8年間(大統領としての4年間と、下野してからの4年間)スポットライトを浴び続けてきた。


共和党予備選でフロリダ州のロン・デサンティス知事や、トランプ政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー元サウスカロライナ州知事ら有力候補を大差で破り、自分はアメリカ史上最高の大統領の1人だったと豪語すれば、(たとえ嘘でも)メディアで大きく報じられた。

国内で激しい物価上昇に直面し、世界を見渡せば2つの戦争が同時進行するなか、コロナ禍前のトランプ政権は平和で経済的にも豊かだったと懐かしがる有権者は少なくなかった。そうやってトランプになびく流れは、ヘイリーのように党内で対立していた政治家さえもトランプの嘘をのみ、支持を表明したことで、一段と強くなっていった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

バフェット氏、ドミノ・ピザとプールに新規投資

ビジネス

英中銀総裁、自由貿易や対EU関係再構築の重要性指摘

ワールド

マスク氏、イラン国連大使と会談 緊張緩和策を協議=

ビジネス

トリプルレッドで米財政への警戒度高まる=DBRS
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:またトラ
特集:またトラ
2024年11月19日号(11/12発売)

なぜドナルド・トランプは圧勝で再選したのか。世界と経済と戦争をどう変えるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 3
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラッドレー歩兵戦闘車が「戦略的価値を証明」する戦闘シーン
  • 4
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 5
    NewJeansメンバー全員が事務所に最後通告「ミン・ヒジ…
  • 6
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企…
  • 9
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に…
  • 10
    新たな大谷翔平伝説が始まる...「ますますリスペクト…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 3
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラッドレー歩兵戦闘車が「戦略的価値を証明」する戦闘シーン
  • 4
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫フ…
  • 5
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に…
  • 6
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 7
    「遮熱・断熱効果が10年持続」 窓ガラス用「次世代…
  • 8
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企…
  • 9
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 10
    海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「空母化」、米…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 10
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中