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米大統領選

なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】

WHY SHE LOST

2024年11月12日(火)17時58分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

一方、ハリス陣営は政治環境の変化をきちんと理解していなかった。ジャーナリストのファリード・ザカリアが10月にワシントン・ポスト紙で指摘したように、「世界最強の経済」は、バイデンとハリスに「良い結果をもたらしていない」。

それは「経済に代わって文化が有権者の投票行動に大きな影響を与えるようになったというアメリカ政治における地殻変動を示唆している」。

実際、バイデンもハリスも、良好な経済指標をテコに労働者階級の支持を取り戻そうとしたが、文化的な主張によってその多くを失うことになった。

公立学校の運動部でトランスジェンダーの生徒の試合出場を擁護したり、政治的な理由でアーティストや知識人の起用を取りやめたりする姿勢は、進歩主義的すぎると労働者階級にそっぽを向かれる原因となったのだ。


現時点では確たる証拠はまだないが、「女性大統領」が敬遠された可能性も十分ある。実際、選挙前の主要世論調査では、ハリスが女性から圧倒的支持を受けている一方で、男性の間ではトランプを支持する声がずっと大きかった。

トランプ陣営はその点をよく理解していて、若い白人男性に人気のインフルエンサーやコメディアンを動員して、進歩主義的な大義を強烈に皮肉った。ハリスが執拗に唱えるリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する女性の権利)も、彼らには響かなかった。

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