なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】
WHY SHE LOST
これまでとは主張を変えた争点についても、説明が足りなかった。例えば、シェールガスの採掘法であるフラッキング(水圧掘削法)についてハリスは長年、環境破壊を理由に反対の立場を取ってきた。
それが今回容認に転じたのだが、「技術の進歩で環境へのダメージが減ったから」というまっとうな理由を言い添えることはなかった。このためウォール・ストリート・ジャーナル紙の著名コメンテーターから、「下手なペテン師」と呼ばれてしまった。
結局、ハリスは上司であるバイデンとの距離をうまく取ることができなかった。トランプ陣営を取り仕切るジェーソン・ミラー選対本部長は、政治メディア「ポリティコ」のインタビューで、今回の選挙戦のターニングポイントについて語っている。
ミラーに言わせると、それは10月8日、ハリスがABCの朝の情報番組『ザ・ビュー』に出演したときだ。女性5人が共同で司会兼コメンテーターを務めるバラエティー色の強い番組だから、ハリスはかなりリラックスして出演できたはずだ。
ところが、司会者の1人であるサニー・ホスティンから、この4年間に、自分が大統領だったらバイデンとは異なる措置を取っていたと思うことがあるかと質問されたとき、ハリスは「何一つ思い当たらない」と答えた。ハリスの側近たちが愕然としたのは間違いない。
トランプの支持者たちは「これで勝った」と大いに盛り上がったという。