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なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】

WHY SHE LOST

2024年11月12日(火)17時58分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

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ハリスの敗北演説を聴く聴衆たち(6日) EVELYN HOCKSTEINーREUTERS

バイデンとの決別を示せず

ハリスはその後、ダメージの修復を試みた。CNNのインタビューでは、「(私の政権は)バイデン政権の続きにはならない」と語った。だが、既に手遅れだった。「よりによって(黒人で民主党寄りの)ホスティンが、ハリスの大統領候補としての息の根を止めるとはね」と、ミラーは語っている。

むしろハリスは、一貫して支持率が低いバイデンとの決別を打ち出さなければならなかった。なにしろ有権者の3分の2以上が「アメリカは間違った方向に進んでいる」と考えていたのだ。


バイデン本人と民主党指導部は、巨額のインフラ投資法や歴史的な気候変動対策、そして半導体業界を支援する「CHIPSおよび科学法」などの大型法案を成立させてきた実績から、バイデンの再選は確実だと思い込んでいた。

81歳という高齢や認知能力への不安がささやかれても、バイデンが撤退を拒否し続けた理由の1つは、いずれ有権者は自分がいかに実務能力に優れた大統領か気付くだろうと確信していたからだ。

実際、経済指標は良くなる一方のように見えた。ほぼ全てのエコノミストが驚いたことに、バイデン政権下で、アメリカは景気後退を回避した。これはジェローム・パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の手腕によるところが大きいが、23年の春から夏にかけて、物価上昇のペースも鈍化し始めた。

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