メキシコとの国境地帯の砂漠で「20年間で4000人以上の移民が死亡」実際の死者は3〜8倍との指摘も
DEAD AND BURIED
「骨がぽつんと1本だけ見つかることもあれば、動物に荒らされ、そこらじゅうに散らばっている場合もある」と、彼女は説明する。「遺体の近くで所持品が見つかることも多い。衣服、バックパック、身の回りの物や携帯電話がよく残っている」
もともと移民に英語を教えていたカーペンターは退職後、使命を感じて捜索活動に参加した。問題に真剣に取り組まない政府には批判的だ。「砂漠で死にかけているか死亡した人がいるかもしれないのに、政府は捜そうとしない」
実際の死者は統計の3〜8倍
「正式な入国地からアメリカに入れば、国境警備隊に逮捕される」と密輸業者に言いくるめられ、違法な場所で国境を越える移民は後を絶たない。そのため行方不明者に関するデータが不足していることも、大きな問題だ。
自身も行方不明者の捜索に携わるカリフォルニア大学デービス校のブラッド・ジョーンズ教授(政治学)は、今の状況を「非人道的」と呼ぶ。
「この20年間で4000人以上の移民がアリゾナ州とメキシコの国境地帯で死亡したことが分かっている」と、ジョーンズは言う。
「だが4000というのは発見された遺体の数にすぎない。発見された遺体1体につき、未発見の遺体が3〜8体あると推定されている」