娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェンタニル危機は中国からの化学攻撃」
Families devastated by fentanyl crisis want US to impose sanctions on China
カナダのバンクーバーは、ホームレスを中心に薬物中毒の震源地になっている(今年8月、路上で気絶した女性) Photo by Teun Voeten/Sipa USA
<原料物質が中国で製造されるフェンタニルの押収量は昨年、アメリカの全人口の致死量を上回った。一般の錠剤のように偽装され、「猛毒」とは知らずに摂取してしまう場合もある。再三の要請にも関わらず、中国政府は本気で取り締まっていない、と遺族は訴える>
脳のオピオイド受容体に作用するオピオイド系の化合物の一種であるフェンタニルが原因で死亡した女性の母親が本誌の取材に対し、アメリカは中国の「化学攻撃」を受けていると主張した。
この母親をはじめフェンタニルの犠牲となった人々の遺族が、この危機を煽っている中国に対する制裁を求めている。
2018年にフェンタニルの過剰摂取で娘のアシュリー・ロメロ(当時32)を失ったアンドレア・トーマスは、米通商代表部(USTR)に対し、フェンタニルの違法製造における中国の役割を調査するよう求めている。
トーマスが設立に関与した「フェンタニルに立ち向かう(Facing Fentanyl、以下FF)」と同組織の弁護団は、中国政府がフェンタニル製造を止めるための行動を起こしていないことがアメリカに何兆ドルもの損失をもたらし、毎年何千人もの命を奪っていると主張している。
「何をしても娘を取り戻すことはできない。本当に恐ろしいことだ。ほかの家族にはこんな経験をして欲しくない。だからこの活動を続けている」と、トーマスは言う。