勝敗を分ける250万のムスリム票の行方、激戦州ミシガンには「8万2000人以上のレバノン系米国人」

Protest Votes from Muslim Americans

2024年10月25日(金)18時49分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌調査報道担当)

ちなみにヒズボラはイランを後ろ盾とする強力な民兵組織だが、その最高指導者ハッサン・ナスララは去る9月27日にイスラエルの空爆によって殺害され、これを機に中東の戦火はさらに拡大した。

民主党には「一貫性がない」とダバジャは見る。

「バイデンやハリス、そして民主党の人たちに言いたい。あなた方の政策、とりわけパレスチナとレバノンにおける大量虐殺(の黙認)はアキレス腱であり、イスラエル支持を続ければ続けるほど、民主党にとってもアメリカにとっても危険なことになるのだと」


ダバジャもまた、緑の党のスタインに投票するつもりだ。そしてイスラエル支持を続ければ国際社会におけるアメリカの地位に傷が付き、ひいては安全保障上のリスクにもつながると警告した。

「あの頃は人間性が欠けていたと歴史の本に記されるような事態を、いま私たちは目にしている。実際、今の私たちはアメリカ社会の一員だと感じられない。人間としての存在を奪われ、認知されていない」

全米のムスリム有権者を対象とした世論調査を見ると、ハリスとスタインの支持率はほぼ互角の29%で、トランプは11%。ただし16.5%は未定と答えている。

スタインは「ガザの大虐殺」を終わらせると公約しており、アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシンの3州にいるムスリム有権者の間ではハリスよりも高い支持率を誇る。ただしジョージア州とペンシルベニア州のムスリム社会では、ハリス支持がスタイン支持を上回っている。

ビジネス支援
地域経済やコミュニティを活性化させる「街のお店」...その支援が生み出す、大きな効果とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米マクドナルドの集団食中毒、感染者75人に 22人

ワールド

トランプ氏とハリス氏、支持率47%で拮抗 米大統領

ワールド

欧州、ロシア制裁強化を検討 トランプ氏返り咲きに備

ワールド

ゼレンスキー氏、国連事務総長の訪問拒否 BRICS
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?(ハイタッチ・ナイター・オーガニック・モーニングコール)
  • 3
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 6
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 7
    巨大な閃光に歓喜の雄叫び...ウクライナ軍が「100年…
  • 8
    北朝鮮がその気なら韓国も!? ロシア派兵に対抗してウ…
  • 9
    BRICSは政治目的の写真撮影会に成り下がった──BRICS…
  • 10
    ロシアと、大戦で敗れた「枢軸国」との明確な違い...…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料を1ウォンも払わず 「連絡先分からず」と苦しい言い訳
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…
  • 6
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 10
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中