日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビディア不発で
11月22日、 年末ラリーの火付け役として期待された米半導体大手エヌビディアの決算は、調整ムードに覆われる日本株にとっても刺激材料とまではならなかった。都内の株価ボード前で2月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
年末ラリーの火付け役として期待された米半導体大手エヌビディアの決算は、調整ムードに覆われる日本株にとっても刺激材料とまではならなかった。人事構想を受けて強まるトランプ米次期政権への警戒感や、国内企業の振るわなかった中間決算の結果を吹き飛ばすほどの買い手掛かりは現在、見当たらない状況だ。
こうした中、需給面の好転が年末高の「起爆剤」になると期待を寄せる声が浮上している。8兆円を超える中間配当を受けた投資家による再投資だ。ただ、投資環境が不透明なため、どの程度、活発化するかは読みにくく、当面はレンジ内での値動きになりそうだとの声も多い。
「年末に向けて株高を想定していたが、あやしくなってきた」と、りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャーは話す。企業の中間決算は事前の想定ほど強くなかった上、トランプ次期政権への思惑に基づく織り込みは短期間で一巡する中で「エヌビディアの決算で盛り上がるとのシナリオが、強気派にとって最後のよりどころだったろう」という。
一方、日本株の需給面から年末高の端緒を探る声がある。日本企業の中間配当金の支払いが、これから本格化してくるためだ。
フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは「すべての配当金が株式に再投資されるとは限らないが、毎年12月初旬にかけての相場の押し上げ要因として意識されやすい」と話す。
増沢氏の試算によると、今年の中間決算での配当支払い額は約8.2兆円で、このうち5.6兆円が12月第1週に集中する。指数連動型のパッシブ運用を行う機関投資家は9月末の配当落ちのタイミングで未収配当金分約1.2兆円の先物を買うことですでに配当再投資を済ませている。焦点となるのは、それ以外の個人やアクティブ投資家の動きだ。
配当支払いのピーク週の前の週末にあたる29日には、米国で小売店がセールを実施する「ブラック・フライデー」があり、週明け12月2日はEC(電子商取引)サイトでのセール「サイバー・マンデー」がある。これらセールの売り上げが堅調と伝わる中で配当支払いのピークを迎えるなら「日の並びが良いこともあって、株高に弾みがつくかもしれない」(増沢氏)という。
再投資は、投資家が配当を受けた銘柄に実施するケースが多いとみられている。再投資の動きが広がれば、相対的に配当金の多いバリュー株がグロース株に対して優位になる局面とみられている。