真の狙いは「世界支配」...トランプを「神に選ばれし者」と信じるキリスト教右派の集会を覗いてみたら【潜入ルポ】
Trump as God’s Chosen One
宗教エクスタシーの行き先
2日目の朝、私は暑さ対策に水のボトルを3本用意して、再びフラッドゲート教会に行った。既に音楽が鳴り響き、ウォルナウは「勇気のツアー」のロゴが入ったシャツとグレーのジーンズ姿で、信者たちに手を置いて祝福していた。
ステージのすぐ前では、10人ほどの参加者がウォルナウの周りに集まり、聖油で清められるのを待っていた。ウォルナウが1人の女性の首の後ろをつかみ、額と額を合わせてつぶやきながら祈る。
そして突然、彼女の頭を両手でつかみ、額に息を吹きかけると、女性はまるでハリケーンの強風にあおられたかのように信者らの腕の中に倒れ込んだ。女性は、崇高な聖霊の存在に圧倒された別の信者4人と並んで、柔らかな草の上にそっと横たわされた。
こうした宗教的エクスタシーが、セミナーが始まる前に見られたことに私は驚いた。程なくしてウォルナウが、この日最初に演説するビル・フェデラーというキリスト教ナショナリストの歴史学者を紹介した。
彼の米国史に関するプレゼンは退屈で、誤解を招くような主張(歴史的なリンチの多くは、黒人に選挙権を登録させた共和党員を標的にしたものである)や、全くの嘘(23年のカリフォルニア州の生殖医療に関する法案は、生後28日目の乳児を殺すことを認めている)が満載だった。