ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせる作戦か、戦争でタガが外れたのか
Taking No Prisoners: Why Russia Is Executing Ukrainian Captives
メッセージアプリのテレグラムには、数十万から100万人を超えるフォロワー数を誇るロシア人軍事ブロガーのチャンネルがいくつもある。クレムリンとつながりがあるこうしたチャンネルは、いわばクレムリンのお墨付きを得た宣伝マシンの立場で、ウクライナ兵捕虜の処刑を正当化するばかりか、賞賛しているのだ。
ISWによれば、捕虜処刑を讃えることで、「より広範なロシアの超国家主義者コミュニティーでは、戦争犯罪を正当化し、賞賛する文化的規範が強化」されているという。
いずれにせよ、残虐行為は軍事的には何の役にも立たず、「ロシア軍の規律とプロ意識の欠如」を露呈するのみだと、ヨーロッパ外交評議会の上級政策研究員であるグスターブ・グレッセルは本誌に話した。「ロシア軍だけでなく、ロシア社会全体がこの戦争を通じて、正常な人間性を失い、過激化している」というのだ。
「ウクライナ兵は最後の弾丸を自分のために残し、より激しく戦うだろう」と、グレッセルは言う。「事実、第二次大戦中にナチス・ドイツが捕らえた共産党員は銃殺しろと命じると、ソ連兵はいかに絶望的な状況でも降伏しなくなった」