ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせる作戦か、戦争でタガが外れたのか
Taking No Prisoners: Why Russia Is Executing Ukrainian Captives
「残酷な処刑シーンが撮影され、ソーシャルメディアでその映像が拡散されているのは、これからウクライナ軍に招集される男性やその家族を脅して、徴兵を忌避させるためだ」と、コバレンコは指摘する。
ロシア軍はウクライナ南部の都市ヘルソンで、故意に民間人を狙ってドローン攻撃を行い、その模様を撮影した映像をソーシャルメディアに投稿するなど、最近では戦争犯罪を隠すどころか、むしろ誇らしげに公表するようになったと、フィンランドの調査分析集団「ブラックバード・グループ」の軍事アナリスト、エミール・カステヘルミは本誌に語った。
「こうした行為は、組織的に奨励されている可能性がある。あるいは、戦争が長引き、ただ単に規律が乱れているのかもしれないし、(激戦地で)捕虜を扱うのは面倒だから(処刑しているの)かもしれない」
しかも、ロシア兵は戦争犯罪を行なっても「訴追される心配はないと思っている」と、カステヘルミは言う。「ロシアの世論も、おおむねこうした行為を非難しない。社会的にも法的にも容認されていて、戦争犯罪への敷居が低い」