最新記事
日本政治

安倍晋三に負け戦を挑んだ石破茂の復活劇

To Build a Post-Abe LDP

2024年10月17日(木)14時35分
トバイアス・ハリス(ジャパン・フォーサイト創業者・代表、日本政治研究者)

しかし、自民党が変わっても、石破は田中から学んだ教訓を貫いた──自民党は有権者の声を聞かなければならない。日本の中で最も恵まれない人々や地域の生活を改善しなければならない。自民党が大きな変化を望むなら、例えば憲法改正や国防費の増額を目指すなら、有権者を説得して支持を得るために懸命に努力して誠実に語らなければならない、と。

軍事オタクの安全保障論

石破が自民党の政治家の中で常に人気が高いことは偶然ではない。そして、彼が現代の自民党で際立っている点は、田中を慕い続ける思いだけでなく、日本が世界で果たすべき役割についても独特の見解を持っていることだ。


満州で従軍した経験のある田中は再軍備に懐疑的で、冷戦時代はアメリカからの自立を強く主張した。一方、石破は平和主義者ではない。それどころか「軍事オタク」を自称している。ただし、安倍とその支持者が日本を世界の大国にする一環として軍事力を強化しようとしているのに対し、石破の一番の関心は国と国民を守ることだ。

日本は軍事的脅威から自国を守る能力を保有し、アメリカの無謀さや無責任が日本を危険にさらす可能性を考えてアメリカへの依存を減らすべきだと、石破は考える。もちろん、日米同盟に反対してはいないが、核抑止力の管理を含め、日本が独立したパートナーとして本格的に関与することを望んでいる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB0.25%追加利下げ、13年ぶり2会合連続

ワールド

ガザ北部でイスラエル軍包囲強化、学校空爆などで子ど

ワールド

米のガザ人道改善要求、EU外相が1カ月の猶予批判

ワールド

エジプト大統領、イラン外相と会談 地域情勢協議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち
  • 3
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパートに行って「ある作品」を作っていた
  • 4
    荒川河川敷ホームレスの「アパート」と「別荘」を、…
  • 5
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 6
    東京メトロ、需要倍率は15倍超える 6年ぶり大型IP…
  • 7
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    日本の男性若年層の手取り年収は、過去30年で50万円…
  • 10
    【クイズ】シュークリームの「シュー」はどういう意…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相
  • 4
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 6
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 7
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパ…
  • 10
    ビタミンD、マルチビタミン、マグネシウム...サプリ…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 6
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中