安倍晋三に負け戦を挑んだ石破茂の復活劇
To Build a Post-Abe LDP
しかし、自民党が変わっても、石破は田中から学んだ教訓を貫いた──自民党は有権者の声を聞かなければならない。日本の中で最も恵まれない人々や地域の生活を改善しなければならない。自民党が大きな変化を望むなら、例えば憲法改正や国防費の増額を目指すなら、有権者を説得して支持を得るために懸命に努力して誠実に語らなければならない、と。
軍事オタクの安全保障論
石破が自民党の政治家の中で常に人気が高いことは偶然ではない。そして、彼が現代の自民党で際立っている点は、田中を慕い続ける思いだけでなく、日本が世界で果たすべき役割についても独特の見解を持っていることだ。
満州で従軍した経験のある田中は再軍備に懐疑的で、冷戦時代はアメリカからの自立を強く主張した。一方、石破は平和主義者ではない。それどころか「軍事オタク」を自称している。ただし、安倍とその支持者が日本を世界の大国にする一環として軍事力を強化しようとしているのに対し、石破の一番の関心は国と国民を守ることだ。
日本は軍事的脅威から自国を守る能力を保有し、アメリカの無謀さや無責任が日本を危険にさらす可能性を考えてアメリカへの依存を減らすべきだと、石破は考える。もちろん、日米同盟に反対してはいないが、核抑止力の管理を含め、日本が独立したパートナーとして本格的に関与することを望んでいる。