最新記事
ウクライナ侵攻

迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に

A NARROW ESCAPE

2024年10月11日(金)09時28分
小峯弘四郎(フォトジャーナリスト)

ウクライナ軍の善戦でポクロフスクは持ちこたえ、9月末の時点でも避難活動は続けられていた。

救出のボランティア活動に参加している日本人で、ウクライナの子供たちを直接支援する活動を続ける一般社団法人ウスミシュカ(ウクライナ語で笑顔の意味)の中條秀人氏によれば、ポクロフスクの中心部まで砲撃音がかなり近づいていた。

ドニプロへ向かうバスが待機している場所からも大きな黒煙が見えるような状況だった。


「ここにきて避難を決断する人たちもいて、依然救出活動は続けられていますが、ウクラインスクやセリドベにはもう行けなくなりました」と、中條氏は言う。

「今はドニプロでの受け入れ先の確保や準備も大変になっており、簡易的にベッドを廊下に並べて寝てもらっています。ドニプロまで避難をしてきても、決して安全とは言えません。どうやら電波塔が狙われているらしくミサイル攻撃を受けています」

ポクロフスクの避難活動が始まった8月20日から取材し、拠点のクラマトルスク〜ポクロフスク〜ドニプロ間の約250キロを車で何度も往復した。その間に多くの避難民を見たし、避難をせずに残り続ける人たちにも会った。

その傍らで前線地域に行き、救出や避難を助ける多くのボランティアの姿を目撃もした。

どの立場であれ、彼らの選択と行動は尊重されるべきだ。どこにいても、その身の安全を案じてやまない。

20241015issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年10月15日号(10月8日発売)は「米経済のリアル」特集。経済指標は好調だが、猛烈な物価上昇に苦しむ多くのアメリカ国民にその実感はない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、10月速報値は68.9に

ビジネス

JPモルガン、四半期利益が予想上回る 投資銀行好調

ビジネス

FRB、11月と12月に0.25%利下げの観測 P

ワールド

レバノン国連部隊、爆発で2人負傷 イスラエル作戦継
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米経済のリアル
特集:米経済のリアル
2024年10月15日号(10/ 8発売)

経済指標は良好だが、猛烈な物価上昇に苦しむ多くのアメリカ国民にその実感はない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギリス人記者が見た、「メーガン妃問題」とは?
  • 3
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 5
    北朝鮮製ミサイルに手を焼くウクライナ、ロシア領内…
  • 6
    南極「終末の氷河」に崩壊の危機、最大3m超の海面上…
  • 7
    2匹の巨大ヘビが激しく闘う様子を撮影...意外な「決…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    【クイズ】ノーベル賞の受賞者が1番多い国は?
  • 10
    ウクライナには「F16が緊急にもっと必要」だが、フラ…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティアラが織りなす「感傷的な物語」
  • 3
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた「まさかのもの」とは?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 5
    2匹の巨大ヘビが激しく闘う様子を撮影...意外な「決…
  • 6
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 7
    ウクライナ軍がミサイル基地にもなる黒海の石油施設…
  • 8
    戦術で勝ち戦略で負ける......「作戦大成功」のイス…
  • 9
    「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨…
  • 10
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中