迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に
A NARROW ESCAPE
クラコバから北東に20分程度でヘルニャックの西の端の待ち合わせ地点に到着した。車を止めて1分もしないうちに猛スピードで1台の白いバンが近づいてくる。こちらの車両を少し追い越したところで急停車。車のドアが開くと、数人が駆け降りてきて荷物を降ろし始めた。
そして車内から数人が降りてきた。西日を背に粛々と車へと乗り込む。その光景に見とれ、気付いた時にはもう出発だった。
救出活動の最前線ヘルニャックでの滞在時間はわずか2分。その間に撮影した写真は数カットだけだったが、本当に心動かされてシャッターを切った。
9月12日、ボランティアのフェディールが支援物資を持っていくというので、防弾ガラスを貼り装甲された車両に同乗して、ロシア軍があと2~3キロまで迫っているセリドベに向かった。
8月末に訪れた際は、危険とはいえ人通りもあり、営業中の店もあった。
だが改めて訪れた町は主要な建物が破壊され、道路にバリケードが張り巡らされていた。この日は特に砲撃音が激しく、どちらのものか不明なドローンが上空を絶えず行き交い、通り過ぎてしばらくするとドローンを狙う機関銃の音が響いてきた。
ポクロフスクに迫る砲撃音
このようにとても危険な状況の中、物資を届けるのはなぜなのか。フェディールは言う。
「2日に1度、朝のうちにパンや水を届けている。町には2000人くらいの人が残っていて、みんな何らかの理由があり避難をしようとはしないんだ。だから自分が必ず食料や水などを届けている。皆が私のことを待っている」